その手順書、あなたの組織に合っていますか?
- 康正 鈴木
- 11月25日
- 読了時間: 4分
2025年11月25日

あなたの組織ではこのようなことが起きていませんか?
・外部から入手した手順書と記録様式をそのまま使用しているため、組織の実態と合っていない
・実際に行っている作業に基づく記録と、QMS省令やISO13485に対応するための記録を別々に作成していて、作業負担が大きい
(つまり、「社内の用途」と「外部に見せるための用途」の二重に管理が行われている)
・手順と記録様式の数が多すぎて管理しきれておらず、必要以上に作業が増えている
これは実際によくある事例です。
これらの事象が発生する理由はいくつか挙げられます。
①大手企業出身者(現在はその組織にはおらず、過去に在籍していた人であることが多い)が作成した手順と記録様式を使用している
→ 大手がこのような仕事のやり方をしているのだから、そのやり方を踏襲すれば安心!と、組織では思っている。
②購入した手順書と記録様式をそのまま使用している。
→ 販売しているくらいだから、買ってきた手順と記録様式に記載されている方法に会社のやり方を合わせれば大丈夫でしょ!と、組織では思っている。
③外部のコンサルタントが作成・提供・修正した手順書と記録様式をそのまま使用している。
→ コンサルタントが言っているのだから大丈夫でしょ!と、組織では思っている。また、コンサルタントが作成した手順書と記録様式を修正してよいかどうかわからない。
上記の方法が「100%間違っている」とは言い切れません。
ゼロから手順書と記録様式を作成することは時間と労力が必要となる大変な仕事です。
外部から入手した手順書等や、既存のものを利用すること自体は問題ありません。
しかし、会社の規模や企業文化、業務は企業ごとに異なります。
更に言うと、「過去に在籍していた人」、「手順書と記録様式の販売会社」及び「コンサルタント」は、有事の際において責任を取ってくれません。
(これは、当社も例外ではありません。自戒を込めて記述しております。)
なぜなら、品質・有効性・安全性及び関連する文書の最終責任は製造販売業者にあるからです。
そのため、自分たちが納得し、運用可能な手順書と記録様式を決めることがとても重要になります。
自社の実態に合っていない手順書と記録様式は形骸化し、余計な作業が増え、場合によっては重大なリスクに繋がる場合もあります。
そこで、自分たちの組織に合うように「手順書と記録様式を“運用実態ベース”で見直す」という視点が重要になります。
手順書は、「手順だけを見て仕事を行うことができる状態」を維持することが理想であると考えております。
現場の実態を無視してしまうと、手順書は単なる「紙のルール」になり、守ること自体が目的化してしまいます。
これでは意味と価値が全くありません。
では、どのようにすれば「自社に合った手順書」を作ることができるでしょうか?
1. 現場で実際に行われている運用をそのまま言葉にする
まずは、現場の担当者にヒアリングし、実際の仕事内容を棚卸しすることが不可欠です。
現場で使われている「用語」、「言葉」をそのまま使用することがポイントだと考えております。(言葉の定義は後から付け加えればよいです。)
手順書と記録様式は“理想を押し付けるもの”ではなく、“現場の知恵や経験を誰でも再現できる形にしたもの”だからです。
2. 省令・ISOの要求事項と照合する
現場の実態を踏まえつつ、法規制やISOの要求を無理なく組み込むことが必要です。
「規制に合わせるための作業」ではなく、「実態に不足している部分を補う作業」と捉えると、手順・記録様式と規制が無理なく統合できます。
本内容に関しては、QMSの用語を組織の用語に「翻訳」する必要があるため、場合によっては専門家やコンサルタントを利用することも一案と考えます。
3. 現場が「使える」手順と記録様式であることを確認する
最終的には、“作成した手順と記録様式が現場で使えるかどうか” が全てです。
可能なら、草案の状態の手順と記録様式で試験運用し、改善点を洗い出すのが理想です。
自社に合わない手順書と記録様式≒自社に合わないルールは、百害あって一利なしだと考えます。
自社に合った手順書と記録様式がもたらす利益の一例は以下の事項だと考えます。
・記録作成が円滑になり、工数が削減される
・教育の質が安定し、新人でも仕事をしやすくなる
・組織の知識やノウハウが可視化される
・作業ミス・ヒヤリハットが減る
・製品の品質・安全性が高まる
手順書と記録様式は“監査や審査を通すための書類”ではありません。
本質的には組織自身のためのものです。
ノウハウに基づく手順書と記録様式は会社の資産になります。
紐づく記録は品質保証を行う根拠となり、自社を守るための最後の砦となります。
誰かに舵を握られる運用ではなく、自社で舵を握っているのだということを是非ご認識いただき、手順書・記録様式の策定に取り組んでいただけるとよいのではないでしょうか。


