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医療機器における「承認」・「認証」・「届出」の実際の手続きとは?

  • 執筆者の写真: 康正 鈴木
    康正 鈴木
  • 11月10日
  • 読了時間: 3分

                                 2025年11月10日


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製品の開発が完了し、必要な性能評価や安全性試験などのバリデーションが終わったら、いよいよ薬事申請の段階に進みます。


薬事申請には「承認」と「認証」及び「届出」の3つの種類があります。

「承認」と「認証」は、申請の基本的な流れは共通する部分もありますが、実際には申請先の機関や提出する書類の内容、さらには手続きの詳細が異なります。

そのため、両者の違いを正しく理解し、適切に対応することが重要です。


また、「承認」及び「認証」の場合は、申請する品目に対するQMS体制が整っていることを確認するために「QMS(品質マネジメントシステム)適合性調査」が実施されます。

※申請対象外の製品に関する体制が確認される場合もあります。



■ 承認の場合


「承認」が必要な製品については、まず、製品の仕様や有効性、安全性などを記載した申請書と、それを補足する添付資料(STED)を、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出します。


申請書の提出後、通常10日以内に、QMS適合性調査のための資料もPMDAに提出する必要があります。

この調査は、書類だけで行われる「書面調査」と、実際に現場を訪問して行う「実地調査」の2種類があります。


どちらが実施されるかは提出資料の内容、製造管理又は品質管理に注意を要する程度及び過去の実績等によってPMDAが判断します。


実地調査となった場合には、PMDAの審査官が製造販売業者や製造業者の施設を訪問し、QMSが基準に適合しているかどうかを確認します。


また、PMDAによる審査の過程では、申請書や添付資料に確認事項や疑義などが生じると「照会」という形で質問が出されます。

この場合、申請者は照会に対する「回答」を行い、場合によっては追加資料の提出を求められることがあります。同様に、QMSの体制に疑義がある場合にも照会が行われます。


このような照会と回答のやり取りを必要に応じて数回繰り返し、すべての審査が完了すると、最終的に製品が「承認」されます。



■ 認証の場合


「認証」が必要な製品の場合は、登録認証機関に対して申請を行います。

この際も、認証申請書と添付資料(STED)を提出します。


認証の場合、QMS適合性調査の資料は認証申請書などと同時に提出するよう求められることが多いようです。


注意すべきことは、登録認証機関によって審査できる製品の範囲が異なるという点です。

すべての製品がすべての認証機関で認証できるわけではありません。

そのため、申請を行う前に、自社の製品がその認証機関で審査可能かどうかを事前に確認することが必要です。



■届出の場合


一方で、「届出」は承認・認証と同一の記載項目である届出書をPMDAに提出します。添付資料の提出は求められていません。


製品の品質、有効性及び安全性は自社で担保することが必要です。

届出はQMS適合性調査の調査対象ではありませんが、社内のQMS体制を整えておく必要があります。




薬事申請のプロセスは、専門的で細かい手続きが求められます。

「承認」の場合はPMDAによる審査、「認証」の場合は登録認証機関による審査となり、それぞれに必要な対応や書類、スケジュール管理が異なります。


スムーズに審査を進めるためには、早い段階から必要な資料の準備とスケジュールの見通しを立てておくことが不可欠です。

また、QMS適合性調査も含め、照会対応を求められる可能性がも高いため、社内体制の整備も重要です。


薬事申請は、製品の市場投入に向けた最終ステップであり、非常に重要なプロセスです。

理解を深め、準備を行うことで、確実に進めていきましょう。


引用:

PMDA(医療機器の製造販売手順について)

https://www.pmda.go.jp/files/000217234.pdf


厚生労働省(認証機関の認証範囲一覧)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074863.html


薬生監麻発0326第12号 令和3年3月26日 QMS調査要領について




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